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60歳で主任を外れる?看護師の役職定年制度と定年後5年間の生き方を考える

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ゆるーりすと のぴまゆです。

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こんな方におすすめ

  • 60歳以降の働き方や収入、年金とのバランスを真剣に考えているアラフィフ看護師
  • 自部署の体制や若手育成とのバランスに悩んでいる中間管理職看護師
  • 自分の今後のポジションや役割の見通しを持ちたい若手看護師
  • 公立・民間の違いを把握し、現場への落とし込みを模索している人事担当者

 

①はじめに

看護師として長く働いてきた私も、気づけば60歳が目前に迫る年齢、いわゆる“アラカン世代”となりました。
日々の業務は変わらず忙しく充実している一方で、ふと立ち止まって「この先の働き方はどうあるべきなのか」と考えるようになりました。

近年、一般企業でも「役職定年」や「定年延長」「再雇用制度」など、60歳以降のキャリア設計に関する制度が次々と見直されてきています。
一方、看護の現場ではどうでしょうか。
定年退職や役職定年の線引きがあいまいであったり、現場の人手不足から制度が形骸化していたりと、現実には制度と現場とのギャップが少なくありません。

また、年金の支給開始年齢が原則65歳となった今、60歳で一区切りを迎えたあとも、どう働くか、どう生きるかという「第二のライフプラン」を具体的に描いておく必要があります。
この5年間をどう過ごすのか、どんな働き方を選ぶのか、そしてどのような形で後輩にバトンを渡していくのか――。

そんなことを考えながら働く日々。
今回は、看護師という専門職ならではの課題と可能性を見つめ直してみるべく、この記事を書くことにしました。

②役職定年とは何か?〜企業と医療現場の違いに迫る〜

そもそも「役職定年」とは、ある一定の年齢(多くは55歳)に達すると、それまでの役職を退き、平職員や専門職に移行する制度を指します。
日本企業ではかつて、年功序列と終身雇用が前提だったため、年齢とともに昇進するという流れが主流でした。
しかし少子高齢化が進み、組織の新陳代謝を促す必要性や人件費の抑制の観点から、1990年代以降、大手企業を中心に「役職定年制度」が導入され始めました。

人事院「令和5年民間企業の勤務条件制度当調査結果の概要」

一方で、近年ではその制度を「見直す」企業が増えてきています。たとえば、

・役職定年によって意欲を失う管理職が増えた
・組織の戦力が急激に落ちる
・年齢に関係なく成果を出す人材に役割を与えるべき

といった理由から、廃止あるいは柔軟な運用へ移行する動きも出てきています。

厚生労働省委託「生涯現役社会に向けた調査研究事業 報告書」

たとえば、みずほフィナンシャルグループは2023年度から役職定年制度を見直し、能力に応じたポスト登用を可能にしました。
NECや日立製作所なども「画一的な年齢基準から脱却し、専門性や実績に応じて柔軟にマネジメントを担わせる」方向にシフトしています。

このように、民間企業では「年齢」よりも「実力」や「貢献度」によってキャリアを設計する、いわば“リスキリングとジョブ型雇用”の流れに沿った改革が進んでいるのが現状です。

③ 看護の現場における“役職定年”のリアル

一方で、看護師という専門職の現場では、こうした“成果主義・柔軟登用”とは異なる現実があります。
看護の世界は、依然として「現場経験」や「人間関係構築力」が重視される現場。
役職定年があっても、明確な後継者育成や職位交代が制度として設計されていないことが多く、「肩書きは外れても実質的な役割は変わらない」というケースが多く見られます。

私が勤務する病院では、主任までは指導職として60歳を目処に役職を外れる制度がありますが、師長(管理職)については、60歳を過ぎてもそのまま職を全うされる方が大半です。
これは、経験のある人が現場にとって必要不可欠であるという側面と、後任を担える人材が育っていない、あるいは育成のシステムが整っていないという背景の両方を物語っています。
さらに、民間病院や個人病院では、そもそも役職定年そのものが制度化されていないところも多く、「退職まで師長として働く」ことが当たり前になっている現状があります。
このような状況は、プラチナ世代(60歳以降)の力を有効活用しているとも言えますが、逆に考えれば「若手が管理職を目指しにくい」「キャリアアップの道が閉ざされる」といった弊害も孕んでいます。

民間企業が「年齢から成果へ」と舵を切る一方で、看護現場は依然として“属人的な役割継続”にとどまっている。
このギャップこそ、今後の看護人材育成と現場の持続可能性を考えるうえで、しっかりと向き合うべきテーマではないでしょうか。

④ 公立病院と民間病院の違い:制度の有無が生むキャリア格差

看護職における「役職定年」の運用は、病院の規模や法人形態によって大きく異なります。

たとえば、自治体病院や大学病院などの公立病院では、定年制度や役職定年の運用が明文化されており、多くのケースで60歳で主任・師長などの役職を退くことが求められています。
これは、公務員としての人事制度が整っていることや、異動・登用の仕組みが確立されているためです。

一方で、民間病院や個人病院では、役職定年の制度が導入されていないか、形骸化していることが多く、60歳を過ぎてもそのままのポストで業務を継続される方が一般的です。
とくに人手不足や後継者不在が常態化している現場では、「辞められては困る」という理由で高齢の管理職が現場にとどまり続けている実情があります。

こうした運用の違いは、看護師のキャリア意識にも影響を与えます。
公立病院では「何歳までに役職を離れる」という見通しの中で、若手が次の役割に備える余地が生まれるのに対し、民間病院ではその流れが曖昧になりがちです。
その結果、「先が詰まっているから昇格は無理」と若手が感じてしまい、モチベーション低下や離職につながる可能性も否定できません。

⑤ 若手育成とのバランス:組織の健全な“循環”とは

役職定年の本来の目的は、組織に新陳代謝を促し、若手に活躍の場を与えることにあります。
しかし現場では、「指導力があるのに年齢を理由に役職を外れるのは惜しい」といった声や、「若手がまだ育っていないので交代できない」といった声も聞かれます。

確かに、ベテランの看護師が持つ経験や人脈、状況判断力は、現場にとって極めて貴重です。
しかし、その一方で若手の育成機会を奪っているという側面もあります。
後任候補にとって、「あの人が退かない限り、自分は昇格できない」と感じる職場は、健全な職場とは言い難いものです。

また、後進を育てるという視点が制度として明確でない場合、指導職が属人的になりがちです。
つまり、「◯◯さんがやってきたから」「△△さんに頼めばなんとかなる」といった、“人”に依存する体質から抜け出せないのです。

このような状態が続けば、いつか「その人が辞めたら現場が崩れる」という危うさを常に孕むことになります。
制度で引き継ぎと人材育成のフローを明確化することが、看護職における役職定年制度の次なる課題だと言えるでしょう。

⑥ 専門職としてのキャリア設計と“第2の成長機会”

看護師は“資格職”であり、ある意味では「役職=能力」ではない世界です。
だからこそ、役職を離れた後のキャリアをどう設計するかは、看護師個人にとっても、病院にとっても極めて重要なテーマとなります。

たとえば、管理職を退いた後、教育や指導、相談役、倫理委員、研究委員などの専門職にシフトする人もいます。
また、認定看護師や専門看護師、訪問看護師や在宅ケアの分野に転身するケースも少なくありません。

近年では、「役職定年後のキャリア開発」=“第2の専門性を磨く機会”と捉える動きも出てきています。
それは、単に職位の上下を意識するのではなく、「どんな看護師として貢献するか」を問い直す時期でもあります。

ただし、こうしたキャリアの再設計は、個人の意欲だけでは実現が難しいこともあります。
病院側が制度として選択肢を用意し、多様な道筋を支援する仕組みが求められているのです。

⑦ まとめ:看護職における役職定年の“これから”を考える

看護師という専門職において、役職定年制度は「ただの年齢制限」では終わらせてはならないテーマです。
組織にとっては、人材の循環を生み出し、若手の成長を支援するための仕組みとして、
個人にとっては、「これから自分はどういう看護師としてありたいか」を問い直す機会として機能するべきです。

年齢だけで線を引くのではなく、柔軟なポスト設計と、再成長できる環境の整備こそが鍵。
そして何より、「誰がいつ辞めるか」ではなく、「誰が誰を育てるか」が見える現場づくりが、
持続可能な看護組織への第一歩だと私は感じています。

今日もゆるーりとね💕

 

 

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  • この記事を書いた人

のぴまゆ

アラカンナースとして、豊かな看護師ライフを実現することを目指しています。 現役看護師であり、看護教員としての経験を活かし、看護の現場で培った知識やスキルを電子書籍を通じて発信しています。 私の目標は、自立を目指すナースや、看護師ライフをより充実させたい方々をサポートすること。 起業や副業に関する有益な情報を提供し、看護師としてのキャリアを広げるためのお手伝いをしています。 ゆる-りと、でも確実に、自分らしい生き方を実現しながら、周囲の人々とも幸せを共有する未来を手に入れたい方必見です。 ブログでは、看護師や看護学生さんに役立つ情報や、看護師ライフを豊かにするためのヒントを発信中です。

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