こんにちは。このブログの管理者
ゆるーりすと のぴまゆです。
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こんな方におすすめ
- 終末期医療に関わる看護師・医療従事者
- 「点滴は続けたほうがいいのか」迷っているご家族
- 終末期ケアの判断や患者家族への声かけの仕方を学びたい方
- 看取りケアを行う特養やグループホームの介護職、看護職
目次
はじめに:点滴を外すという決断の重み
「なにもしないなんて、見捨てたようでつらい」
終末期に入った患者さんのご家族から、よく耳にする言葉です。
特にがんの終末期では、「せめて点滴だけでも…」「少しでも栄養を」という想いが強く表れます。
しかし、私たち医療者の間では、必ずしも「点滴=患者のため」ではないことも認識されつつあります。
先日 主催した研修会で改めて考えさせられた「終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン」の内容と、そこから私たちが何を学び、どう家族や患者に寄り添えるのかをまとめました。
【1】終末期輸液の基本的な考え方とは
研修会では、日本緩和医療学会の『終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン』が取り上げられました。
この中で明確に示されていたのは、
・過剰な輸液は苦痛を増やす可能性がある
・浮腫、胸水、腹水の増加、分泌物による嘔吐や窒息
・患者の自覚症状が安定しているなら、無理に輸液を継続する必要はない
つまり、単に「水分が足りないから」「脱水になりそうだから」といった理由でのルーチン的な点滴継続は見直す必要があるのです。
【2】点滴を外すこと=見捨てること?
私たち看護師にとっても、点滴をやめる決断はとても重たいものです。
ましてやご家族にとっては、「もう終わりなんだ」と感じさせてしまうようで、つらく悲しい判断です。
でも本当にそうでしょうか?
特定看護師は「何もしない」ことは「何もできない」ことではないと繰り返し述べられていました。
点滴をやめたあとにも、私たちや家族ができるケアはたくさんあります。
【3】点滴の代わりにできる“癒し”のケア
・口腔ケア:口渇(こうかつ/ドライマウス)を防ぎ、清涼感や安楽を提供。
・ハンドマッサージ:皮膚接触がもたらす安心感、愛情の伝達。
・タッチング(体に触れるケア):不安や孤独を和らげる力があります。
点滴に代わるこうしたケアを「家族ができるケア」としてお渡しすることで、「何もできない」不安から「わたしにできることがある」という希望へと変えていくことができるのです。
【4】点滴を続けるなら“目的”と“見直し”を
それでも家族が点滴を希望するならば、以下のような視点が必要だと学びました。
・目的の明確化:「口喝緩和」「不穏軽減」など
・期間の設定と評価:3日ごとに評価
・症状のモニタリング
・患者本人の自覚症状の確認
・看護師が用いる評価スケール「STRS-J」の活用
・家族への定期的な面談と説明
【5】STRS-Jとは?
STRS-J(Support Team Assessment Schedule – Japanese version)は、
緩和ケアにおける苦痛の総合的な評価ツールです。
主な評価項目は
・不安
・混乱
・苦悶
・呼吸困難
・眠気
・鎮静度など
これにより、患者の苦痛の変化を視覚的・定量的に記録でき、
点滴を続けるか、減らすか、やめるかの判断材料にもなります。
【6】看護師としての葛藤に向き合う
患者の命が終わりに近づいている中で、
「何が最善か」を考えるのは簡単ではありません。
「苦しませたくない」
「家族の希望にも応えたい」
「でも本当にこの点滴は必要か?」
私たち看護師は、そのはざまで日々悩み、苦しんでいます。
でも、答えは一つではなく、患者とご家族、一人ひとりと向き合う中で、
一緒に「その人らしい終末期」を探すことが、私たちの役割だと感じています。
おわりに:寄り添うケアのかたち
点滴をする・しない――それは単なる治療行為の選択ではなく、
「どう生き、どう最期を迎えるか」という人生の問いでもあります。
点滴という“医療のバトン”を手放すことで、
家族が“ケアのバトン”を受け取り、
大切な時間を共に過ごすことができる。
そんな発想の転換が、患者さんにもご家族にも、
そして私たち看護師にも、穏やかな時間をもたらしてくれるのかもしれません。
今日もゆるーりとね💕