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ゆるーりすと のぴまゆです。
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こんな方におすすめ
- 緩和ケア病棟や在宅緩和ケアに携わる看護師
- 呼吸困難への看護実践を深めたい看護師
- 呼吸困難を訴える患者に、どう対応すべきか迷っている医療スタッフ
目次
はじめに:呼吸困難は「数値」ではなく「苦しみ」
緩和ケア病棟で働いていると、がん患者さんの訴える「息苦しさ」に日々向き合います。
SpO₂(酸素飽和度)が正常でも、患者さんが「息ができない」と訴えることは少なくありません。
緩和ケア病棟看護師である私も、SpO₂(酸素飽和度)だけではわからない“苦しみ”があると実感しています。
日経メディカルで紹介された廣橋猛先生の「呼吸困難の三種の神器」という記事は、まさに日々の看護実践と一致し、深くうなずく内容でした。
この記事では、その内容を看護師の視点からご紹介します。
呼吸困難と呼吸不全は別もの
まず大切なのは、「呼吸困難」は“患者の主観”であり、「呼吸不全」は“血中ガスの異常”であること。
患者の息苦しさは、必ずしもSpO₂の低下とは連動しません。
私たち看護師は、“目に見えるデータ”だけでなく、“患者が感じている不安や恐怖”に寄り添う必要があります。
呼吸困難をやわらげる「三種の神器」(日経メディカルの記事より)
① モルヒネ ~息苦しさに効果的なレスキュー薬~
看護師として、がん性疼痛へのモルヒネの使用はもちろんですが、「呼吸困難に対してのモルヒネ」もよく使用します。
私の担当した患者さんにも、「動いたときだけ苦しい」という訴えがありました。
主治医と相談し、活動前に速放性モルヒネを使用するようになってから、活動範囲が広がり、表情も明るくなったのを覚えています。
特に、オプソ内服液のような速効型のレスキュー薬を、呼吸困難が予測される場面(起床前、移動前など)にタイミングよく使用することが、患者のQOL向上に繋がります。
看護師としては、「どのタイミングで苦しくなるのか」をしっかりアセスメントし、医師へ適切に情報提供することが求められます。
② 抗不安薬 ~不安が引き起こす息苦しさを断つ~
「夜になると息苦しい」「眠れないと息が苦しくなる」――こうした患者の声、皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
これは不安によって呼吸困難感が増悪している典型的なケースです。
このとき、ロラゼパム(ワイパックス等)などのベンゾジアゼピン系の抗不安薬が効果的です。
もちろん、ただ薬を使うだけでなく、「あなたの苦しさは“気のせい”ではないですよ」と患者さんの気持ちに寄り添う看護が何より大切。
不安を言語化できるように促し、安心できる環境を整えることも、看護師の大事な役割です。
③ ステロイド ~特定の病態に適応~
がん性リンパ管症や無気肺、胸水が原因での呼吸困難に対しては、ステロイド(デキサメタゾン等)の使用が有効です。
ただし、看護師としてはステロイドの副作用管理も欠かせません。
高血糖、浮腫、易感染性などを観察しながら、患者の変化に敏感であることが求められます。
また、患者や家族に「なぜこの薬が使われるのか」「一時的な使用なのか」などの説明を丁寧に行うことも、安心感につながります。
看護師にできる“最大のケア”は、訴えに耳を傾けること
緩和ケアの現場で、私が一番大切にしているのは、「息苦しい」という声に心から耳を傾けることです。
データや数値では表せない“主観的苦痛”こそ、看護の真価が問われるところだと思います。
呼吸困難を訴える患者に、どれだけ「あなたの苦しさを、私はわかろうとしています」と伝えられるか。
日常生活動作をゆっくり行うなどの工夫もそうですし、ギャッチアップによるファーラ位で安楽な体位を工夫したり、室温湿度に至るまで、様々な環境調整に気を配ることも忘れてはいけない大切な看護です。
薬物療法も大切ですが、その“ケアの根っこ”を忘れずにいたいと、改めて感じました。
おわりに:限られた時間を、少しでも楽に
呼吸困難は患者にとって「生きること」そのものに直結した苦痛です。
私たち看護師が、患者の呼吸の変化だけでなく、表情、しぐさ、訴えに敏感であること、そして三種の神器をチームで上手く使いこなすことが、患者のQOLを高める第一歩になります。
今日もゆるーりとね💕