こんにちは。このブログの管理者
ゆるーりすと のぴまゆです。
このブログはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を利用しています。
それではゆるーりとご覧ください。
こんな方におすすめ
- 高齢者看護に関心のある看護師
- 転倒予防に関わる医療職・介護職
- 聴力低下の家族を支えるご家族
- 補聴器や福祉用具に関わる専門職
目次
① はじめに:高齢者看護における転倒リスクの重要性
転倒は高齢者にとって大きな健康リスクの一つです。
転倒による骨折や頭部外傷は、寝たきりのきっかけとなり、その後の生活の質(QOL)にも大きな影響を与えます。
現場で看護をしていても、転倒によって入院生活が長期化する例にたびたび出会います。
臨床では転倒させないために、転倒のリスクアセスメントがされ、ハイリスクの場合は身体拘束の方策がとられます。
そんな中、「難聴が転倒の危険因子である」という注目の研究結果が2025年3月、JAMA Otolaryngology誌に発表されました。
今回はその研究の内容をご紹介しながら、難聴と転倒の関係、そして看護の現場で私たちができることを考えていきたいと思います。
今回の記事は日経メディカルの「難聴は転倒の危険因子である」という記事をもとに看護の視点でお話しています。
② 研究の概要と信頼性の高いデータ
この研究は、シンガポール国立大学のBrian Sheng Yep Yeo氏らが行った系統的レビューとメタアナリシスで、世界中の観察研究を分析したものです。
対象となったのは27件の研究、約507万人のデータ。
アジア、北米、欧州、オセアニアと、地域も多岐にわたります。
分析の結果、難聴のある人は転倒リスクが高いことが明らかになりました。
具体的には、
横断研究のオッズ比:1.51(約1.5倍)
縦断研究のリスク比:1.17(約1.2倍)
と、いずれも有意に高くなっていました。
※原題は「Hearing Loss and Falls:A Systematic Review and Meta-Analysis」
概要はJAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery誌のウェブサイトで閲覧できるそうです。
③ 難聴が転倒を引き起こす理由とは?
では、なぜ難聴が転倒につながるのでしょうか?
いくつかの仮説が挙げられています:
空間認知の低下
音によって周囲の環境を把握している私たちは、聴力が低下するとその認識力も低下し、危険を察知しにくくなります。
注意力の分散
難聴のある人は会話や音の聞き取りに集中するため、足元への注意が散漫になりやすい。
平衡感覚との関連
内耳の聴覚とバランス機能は密接に関係しているため、聴力低下がバランス機能にも影響する可能性があります。
④ 看護の現場でできる転倒予防とアセスメント
看護師として私たちができることは多くあります。
聴力のチェック: 高齢患者さんに対しては、補聴器の使用状況や、テレビの音量の確認など、日常的に聴力の低下に気づく視点が必要です。
転倒リスク評価に難聴を加える: 転倒アセスメント項目に「聴力」に関する項目を加えることも一つの工夫です。
環境整備: 音が聞こえづらい人ほど、周囲の段差や障害物の認識が遅れる可能性があるため、床の整理整頓や足元灯の設置はより重要になります。
チームでの情報共有: 難聴の有無や補聴器の使用状況は、転倒リスクとして共有するべき情報です。
⑤ 今後の展望と私たちの期待
今回の研究では、難聴と転倒の関連が統計的に明らかになりましたが、著者らは「難聴に対する介入(例:補聴器使用)が転倒予防に効果があるかを調べる必要がある」と述べています。
これは今後の介入研究に期待が高まるところですし、看護の現場でも補聴器装用支援や日常生活支援が転倒予防に一役買う可能性があります。
高齢社会を迎える日本でも、聴力に着目したケアが今後さらに重要になってくるでしょう。
⑥ まとめ:小さな「聞こえない」が大きな「転倒」につながるかもしれない
「耳が遠くなっただけ」と軽く考えがちな聴力の低下。
しかし、そこから始まる身体的なリスクは決して小さくありません。
転倒予防の視点に、ぜひ「聴こえ」への配慮を加えてみてください。
現場の気づきが、患者さんの安全とQOLの向上につながります。
今日もゆるーりとね💕