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「代理決定者」ではなく「代弁者」へ──ACPにおける本当の信頼と意思尊重とは?

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ゆるーりすと のぴまゆです。

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こんな方におすすめ

  • 緩和ケア・在宅医療に関わる医療職(看護師・医師・ケアマネジャーなど)
  • ACPの支援を実践したいが「代弁者の選び方」に悩んでいる方
  • 家族として患者さんの意思を尊重したい一般読者

 

🧣はじめに~代弁者という言葉に敏感になる瞬間

先日、日経メディカルAナーシングで「代弁者の決め方」という記事を読み、深く共感しました。

私は先日の緩和ケア医療学会でも、「代理決定者ではなく代弁者である」という視点の重要性を学びました。

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それ以来、「代弁者」という言葉に敏感に反応するようになり、今回の記事も自然と目に留まりました。

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🌿本人の意思を「代わりに」ではなく「代わって伝える」

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の定義には、「本人が意思決定できなくなったときに備え、代わりに意思決定を行う信頼できる人を選ぶプロセス」とあります。
ここでいう“信頼できる人”が、いわゆる代弁者です。

記事に紹介されていたGさんの事例は、とても示唆に富んでいました。
進行したCOPDと認知症を抱えるGさんは「早く家に帰りたい」と繰り返し訴えます。
医療チームはその願いを叶えたいと思う一方で、体力や介護体制を考えるとリスクも大きい。
息子さんは「延命治療を望まない父の意思を尊重したい」と語り、ケアマネジャーは「自宅介護は限界に近い」と指摘する。
――このような複雑な現実の中で、「誰が代弁者になるのか」という問いが浮かび上がります。

✨代弁者を選ぶための3つの問い

記事では、代弁者を選ぶ際に重要な3つの質問が紹介されています。

本人が誰を代弁者にしたいと考えているか

本人がその人に代弁を委ねたいと伝え、その人が了承しているか

本人と代弁者があらかじめ話し合っているか

この3つの確認が、本人の価値観を尊重するACPの根幹を支える鍵になります。
しかし、現実の医療現場ではこのプロセスが十分に踏まれないまま、「家族だから」「長男だから」と自動的にキーパーソンが代弁者と見なされるケースが少なくありません。

🍁看護師としての気づき:本人の「信頼」を確認する姿勢

私自身、緩和ケアの現場で同様の場面を多く見てきました。
「家族が代弁者」という前提で話が進むことは少なくありませんが、実際には本人が最も信頼しているのが、家族以外の人――例えば長年の友人や看護師である場合もあります。

だからこそ、私たち医療者ができるのは「誰が本当に本人の思いを代弁できるか」を、丁寧に確認することだと感じます。
“代弁”とは、本人の声をなりかわって語ることではなく、本人の価値観を引き出し、形にして届ける行為です。
看護師として、患者の人生観や希望を日常の関わりの中で聴き取ることが、ACPの第一歩であり、代弁者を支える根拠になります。

🌈代弁者を「育てる」関わりへ

記事では、豪州のACP教育プログラムで示された代弁者の条件が紹介されていました。

項目 内容 看護現場でのポイント
① 本人の価値観・希望をよく理解している 本人が大切にしている生き方・治療観を知り、過去の発言や行動からその価値観を理解していること。 日常会話や生活の中から「その人らしさ」を聴き取る姿勢が重要。
② 本人の最善の利益を考えて行動できる 自分の感情や利益ではなく、本人の幸福・尊厳を優先できる。 家族の思いと本人の意思が異なる場合、冷静に判断できるかが鍵。
③ 医療・ケアチームと協働できる 医療職との対話に参加し、必要な情報を共有しながら意思決定に関われる。 医療チームと対立せず、「協働」の意識を持てる関係性が理想。
④ 感情的・倫理的に安定している 危機的な状況でも冷静に対応でき、倫理的判断力を持っている。 看取りや終末期に直面しても、動揺に流されず本人の意思を尊重できるか。
⑤ 医療情報を理解し、判断できる 治療方針やリスク・ベネフィットを理解し、説明を受けて判断できる能力がある。 専門用語を理解しきれなくても、医療チームに質問・確認できる姿勢が必要。
⑥ 本人と信頼関係がある 長年の関係性や信頼があり、本人が「この人に任せたい」と感じている。 「信頼」は最も重要。本人の表情や言葉から確認することも大切。

この6項目を読むと、「代弁者になる資格」は肩書きや立場ではなく、その人の生き方や関係性に根ざしていることが分かります。
私たち医療者は、患者さんと家族の間でこの6つの視点を確認しながら、誰が最も「本人の声を代わりに届けられる人」なのかを丁寧に見極める必要があります。

この条件は、突然誰かに備わるものではなく、話し合いと支え合いの中で育まれるものだと思います。

Gさんの息子さんが、葛藤を経て仕事を辞し、父の介護に専念する決断をしたように、
人は“誰かの代弁者”になっていく過程で、少しずつその覚悟と理解を深めていくのかもしれません。

🪶おわりに~誰が「代弁者」なのかを問い直す

私たちはつい、「キーパーソン=代弁者」と決めつけてしまいがちです。
けれど本当に大切なのは、「本人が誰を信頼しているか」「その人が本人の意思を理解しているか」を丁寧に確認すること。

ACPの実践は、答えを急ぐことではなく、“対話の積み重ね”の中にあります。
代弁者とは、本人の声が届かなくなった時に、その人らしさを代わりに伝える人。
そして私たち看護師は、その声が正しく届くよう、そっと支える存在でありたいと思います。

今日もゆるーりとね💕

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  • この記事を書いた人

のぴまゆ

アラカンナースとして、豊かな看護師ライフを実現することを目指しています。 現役看護師であり、看護教員としての経験を活かし、看護の現場で培った知識やスキルを電子書籍を通じて発信しています。 私の目標は、自立を目指すナースや、看護師ライフをより充実させたい方々をサポートすること。 起業や副業に関する有益な情報を提供し、看護師としてのキャリアを広げるためのお手伝いをしています。 ゆる-りと、でも確実に、自分らしい生き方を実現しながら、周囲の人々とも幸せを共有する未来を手に入れたい方必見です。 ブログでは、看護師や看護学生さんに役立つ情報や、看護師ライフを豊かにするためのヒントを発信中です。

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